鹿児島県にある口永良部島(くちのえらぶじま)をご存知ですか?「緑の火山島」とも呼ばれていて、2015年に新岳の噴火で全島避難したニュースを覚えている方も多いかと思います。鹿児島県屋久島からフェリーで1時間40分、北西12kmに位置している雄大な火山と美しいエメラルドグリーンの海に囲まれた自然豊かな島です。
そんな口永良部島で2011年より「地域と大学の協働による地域活性」を目指し活動を続けているのが、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにある、建築の池田靖史研究会と教育の長谷部葉子研究会の合同で結成された『口永良部島プロジェクト』です。
今回離島キッチンさん協力のもと、口永良部島プロジェクトのメンバーが実際に口永良部島に渡り島の方々にご協力を仰ぎ、食や文化を通じ口永良部島の魅力が伝わるフェアが開催中です(^-^)
”島の人の顔が見える”をテーマに企画した店舗・メニューを作りましたので、是非この機会にお楽しみ下さい。
(文&写真:慶應義塾大学 長谷部葉子研究会口永良部島プロジェクトメンバー)
1.口永良部島と私たち
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![口永良部島プロジェクトメンバー](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image8-2-1366x1024.jpg)
口永良部島プロジェクトメンバー
Q.何故“口永良部島プロジェクト”に参画しようと思ったのか?
今まで行ったことないし、南国の雰囲気の中でゆっくり猫でも撫でて過ごしてみたいなーと。笑
仲村:僕の場合は単純に沖縄出身だったので、島というワードに惹かれただけでした。
特にそれ以上の理由も事前知識もなかったわけですが、最初行ったときに一気に惹かれましたね。
離島って日本中にあちこちあるけど、同じ場所は一つもない。口永良部島だって屋久島と12キロしか離れてないのに、屋久島とは全く違った魅力がある。
当初の「島」という単純なワードに惹かれたものの、今となっては口永良部という1つの島に向き合いたいという思いでプロジェクトには参画しています。
Q.口永良部島に行ってみて感じた事は?
ある人は公共事業を行っていたり、ある人は農業をして他の島民の方におすそ分けをしていたり、またある人は子供に勉強を教えたり。
さらに、様々な仕事を持ちマルチプレーヤーとして活躍している方もいらっしゃいます。
お互いに役割を持ち、支え合って、暮らしている姿が、素敵だなと。
仲村:これまた沖縄出身の単純な発想で、島って青い海と青い空だと思ってたんですよ。
そしたら口永良部島にはそれに加えて火山がある。
火山島なんですよね、だから島中に温泉がたくさんあるわけですが、これまでに大きな噴火も繰り返していて、全島民が島に帰れなくなるといったこともありました。
本当に火山と隣り合わせの生活なんですよね。
そしてそれは時に命に関わるほどの猛威をふるう。
「じゃあそんな島に住まなければいいじゃん」って思う人もいると思うんですけど、島に生きるってそうゆうことじゃないなと感じていて。
「ここは乗り換えが大変だから」
「夜は騒がしいから」
って簡単に引っ越すみたいなことって都会でしかできなくて、離島はもちろん地方も、どんな状況であってもその地で生き抜いていかなければいけない。
そのたくましさみたいなものをすごく感じます。
島の人と話している時はもちろんですが、普段の生活を送っている姿からも、1日というものをしっかり生きてるということが伝わってきて。って、島の人に言っても笑われると思いますけど。笑
![港の様子](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image16.jpg)
港の様子
![国立公園の石碑](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image17.jpg)
国立公園の石碑
Q.口永良部島の魅力とは?
人口100人の小さい島だからこそ全員が知り合いで、今何をしているかわかって。
来訪者も、そのコミュニティに温かく迎え入れてもらえ、包容力を感じられます。
また、生きるためのものを買うのではなく自らで作る必要があり、島の人は農業をしたり、自分で食べるぶんのお魚を釣ったり、家を建てたり(!)しています。
人間が自然とともに、力強く生きる力があるように思えます。
仲村:何もないがある。
人口が密集していたり、インフラが整っていたり、確かに都会は便利だし、豊かだと思います。
でも、それってもう物理的にも余地がないわけで、だから心も余地がなくなってるんだなって思うことはたまにあって、そんな時に口永良部島に行くと、思いっきり背伸びができるんですよ。そこが魅力ですね。
あとは、人。
島民の皆さんが本当に素敵な方ばかりで、初めて島に来ても自然と「ただいま」って言いたくなっちゃうほど愛に溢れています。
魅力って言葉で説明できないけど、行ってみたらわかると思うんです。
だからまずは口永良部島に足を運んでほしいです。
![池田研究会 竹シェルの施工様子](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image14-1-1366x1024.jpg)
池田研究会 竹シェルの施工様子
![半年間の長期滞在で運送会社で働く姿](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image15-1530x1024.jpg)
半年間の長期滞在で運送会社で働く姿
Q.口永良部島で感じた課題は?
島がなくなれば、今ある素敵なコミュニティもなくなってしまします。
どうすれば島を残せるのか、島に行く人を増やせるのか、島を知る人を増やせるのか。
私たちが、お世話になった島の方に恩返しできることは何なのか。
そう考えながら、島での経験を少しでも多くの人に伝えようとしています。
仲村:島のことについて僕らのような学生が「これが島の課題です」って言えるような立場ではないと感じているので、島に対してではなく、島以外の人に対しての課題なんですが、「島に来てほしい」と思っています。
飛行機やフェリーを乗り継いで着くまでにすごく時間がかかるし、特に観光地でもない島にまずは来てほしい。
口永良部島も島としての課題はたくさん抱えているのは知ってますが、その課題をどうしようというよりも、島以外の人に口永良部島の魅力を知ってほしいな、ということが全てですね。
![拝借している古民家での一コマ](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image18-1-1366x1024.jpg)
拝借している古民家での一コマ
![寺子屋企画映像ワークショップ](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image12-1-1538x1024.jpg)
寺子屋企画映像ワークショップ
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2.離島キッチン × 東京六大学プロジェクト
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その最初の企画が「東京六大学プロジェクト」。
六大学の学生が各大学ごとに一つ島を選び、その島をテーマに一ヶ月間のフェアをプロデュースするというものです。
学生は実際に島に足を運び、“離島キッチンをきっかけに島に足を運んでもらう”ことを目標に、島の魅力が伝わるようなコンセプト設計にはじめ、メニューや店舗内装を企画します。
![離島キッチン 日本橋店 (photo by 島日より、旅日より編集部)](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image4-2.jpg)
離島キッチン 日本橋店 (photo by 島日より、旅日より編集部)
離島キッチン 日本橋店
住所 | 東京都中央区日本橋室町2-4-3 日本橋室町野村ビル B1F |
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電話 | 03-6225-2095 |
営業時間 | ランチ:11:00-14:30 カフェ:14:30-18:00 ディナー:18:00-22:00 (料理L.O. 21:00 ドリンクL.O. 21:30) 日曜営業 |
定休日 | 不定休 |
支払い方法 | カード可・電子マネー不可 |
アクセス | 東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅A9出口徒歩1分(駅直結) JR総武快速線新日本橋徒歩3分(駅直結) 三越前駅から93m |
サイト | 離島キッチン 日本橋店 |
FBページ | 離島キッチン 日本橋店FBページ |
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3.口永良部島フェア
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口永良部島の魅力を伝える、口永良部島に行きたいと思ってもらうという目標に向けたコンセプトを決めるために、まずはプロジェクトメンバーそれぞれが感じる島の魅力や島に通っている理由をボードに書き出しました。
その結果、えらぶの魅力は一つに絞れないし、魅力を感じる切り口は人それぞれ異なるということに気がつきました。
そこで、島の魅力を全部店内に盛り込んで、お客さんが料理を食べて空間を体感して帰る頃にはそれぞれの好みに合った”島に行く理由”が見つかってしまうようなお店にしよう、ということでこのコンセプトが出来上がりました。
メニュー
〜たくさんの人に支えられてその一品が食卓に並んでいます〜
工夫したのが、”島の人が見える”メニューにすることです。
学生たちは皆、島の人の温かさや人間性に魅力を感じていることもあって、そういった島の人たちを料理を通して伝えようと、一品一品が食卓に並ぶまでにお世話になった島の人を紹介するメニュー冊子を作りました。
そこには学生たちがインタビューを通して伺った島の人の人生や島に対する想いが綴られています。
さらに、料理を提供する際には接客スタッフとして店舗に立っている学生からその料理が成り立つまでのストーリーを話させていただきます。
一番苦労したのが、一ヶ月間安定供給できる食材を確保するところです。
口永良部島には漁師さんや農家さんはいるものの、生産されたものが島外に出ることはほとんどなく、産業レベルの生産体制がほとんどないからです。
学生が島に滞在し、島の方々に食材や料理についてたくさん話を聞かせてもらったり、提案をいただく中で食材を確保し、メニューを考えました。
![口永良部島フェア メニュー冊子](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image1-768x1024.jpg)
口永良部島フェア メニュー冊子
![口永良部島フェアメニュー](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image2.png)
口永良部島フェアメニュー
口永良部島フェア 内装
![口永良部島フェア 店内の様子](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image3-1536x1024.jpg)
口永良部島フェア 店内の様子
口永良部島には、港祭りという港に出店が出たり大漁を願うパレードをするお祭りと、夏祭りという小中学校の校庭にステージを設けてカラオケやサンバなどイベントを行うお祭りの2大イベントがあります。
![夏祭りのでの一コマ](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image13-1538x1024.jpg)
夏祭りのでの一コマ
![夏祭りでのパレード](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image10.jpg)
夏祭りでのパレード
離島キッチンで祭りの雰囲気を体感して、「今度はほんもののくちえらぶ祭りを見に行こう!」と思ってもらいたい、という思いを込めました。店内には、港祭りで実際に掲げられる迫力満点の大漁旗を飾り、学生スタッフは法被を着ておもてなしします。
また、島の子どもたちと、島でよく飲まれている焼酎三岳の空き瓶で作ったランプが飾られています。ランプ作りは大学生がワークショップという形で行いました。
机の上も、口永良部島への行き方を紹介したランチョンマット、口永良部島でよくとれる夜光貝で作られた箸置きなど口永良部島で染まっています。
![口永良部島フェア ランチョンマット](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image4-1536x1024.jpg)
口永良部島フェア ランチョンマット
箸置きは、口永良部島に夜光貝でアクセサリーを作っている方がいて、「夜光貝の輝きを知ってほしいから箸置きを作りたい!」という学生の要望に快く協力していただいて実現したものです。
![ランプ作りワークショップの様子](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image7-1529x1024.jpg)
![完成したランプ](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image6-1529x1024.jpg)
![ワークショップチラシ](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2018/04/image5-686x1024.jpg)
みどころ
一品一品が出来上がるまでの秘話や、島と学生のエピソードなどを聞きながら食べる料理は、いつもと違う”美味しい”があるはず!
![](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2017/01/nat3_line_01.png)
まとめ
![](https://shimatabibiyori.com/wp-content/uploads/2017/02/wave-1.png)
(文&写真:慶應義塾大学 長谷部葉子研究会口永良部島プロジェクトメンバー)
編集付記:口永良部島への行き方
鹿児島本港から屋久島:宮之浦港まで約4時間程度。
鹿児島本港から指宿・種子島を経由して、屋久島:宮之浦港or安房に着くルートがあります。2時間〜3時間程度。(実際のルートは運行会社のHPでご確認ください)
・大阪(伊丹空港)〜屋久島空港
1日1便 90分。
・福岡空港〜屋久島空港
1日1便 65分。
・鹿児島空港〜屋久島空港
1日5便 30分。
【お問い合わせ先】
屋久島町役場商工観光課船舶係
Tel:0997-42-0100 Fax:0997-42-1505
車両予約お問い合わせ:海陸運輸KK Tel:0997-42-0140
(文責:島日より、旅日より編集部)
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